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解雇とは雇用契約の終了の一つの形態で、
労働者の意思に反して使用者より雇用契約
を中途で解約するものをいいます。雇用契
約の終了の形態は解雇の他に退職がありま
す。退職は、労働者の都合により雇用契約
を中途で解約する場合を自己都合退職、就
業規則等により定められたある一定年齢に
達したことをもって雇用契約が終了する場
合を定年退職、にといいます。また私傷病
等によりよる休職が長期化し、就業規則等
により定められた休職期間を過ぎても尚職
場復帰が見込めない場合に退職する場合
は雇用契約の自動終了ということになりま
す。使用者による労働者への退職勧奨に労
働者が応じた場合は双方合意による雇用
契約の終了ということになります。
そもそも使用者は労働者を自由に解雇でき
るのでしょうか?この問いに答えてくれる
のが民法627条です。民法627条によ
ると、期間の定めのない雇用契約は使用者
労働者双方とも自由に雇用契約の解約の申
し入れをすることができます。
労働者の場合、期間の定めのない雇用契約
を解約しようと思えば14日前までに、そ
の申し入れをすればよいことになっていま
す。
使用者の場合は、労働基準法第20条によ
って30日前までに解雇予告をするか、解
雇予告をしない場合には当日から解雇日ま
での日数を30日から控除した日数に1日
あたりの平均賃金を乗じた額を解雇予告手
当として支給することによって、解雇でき
ることになります。
但し、労働者の責めに帰すべき重大な事由
による解雇の場合、労働基準監督所長の認
定がある場合には即刻解雇できます。
以下の@,Aに該当する労働者は解雇が制
限されます。
@業務上負傷しまたは疾病にかかり療養の
ために休業する期間及びその後30日間。
A産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)
にある女性で休業を請求した者。及び産後8
週間以内にある女性。
また解雇の理由が以下の@〜Gの場合に
は解雇が無効となります。
@国籍、信条、社会的身分を理由とするもの。
A公民権を行使したこと、公の職務遂行を
理由とするもの。
B監督機関に対する申告を理由とするも
の。
C女性であることを理由とするもの。
D女性が婚姻し妊娠し出産しまたは出産に
伴う産前産後休業を取ったことを理由とす
るもの。
E育児・介護休業を取得したことを理由と
するもの。
F労働者が労働組合員であるかまたは労働
組合に加入しまたは労働組合を結成しよう
としたことを理由とするもの。
Gその他、法律で解雇等不利益な取り扱い
が禁止されているにも拘らずそのことを理
由とするもの。
解雇権濫用法理
以上の制限をクリアして解雇に関する所定
の手続きを満たせば、使用者は労働者を自
由に解雇できることになります。しかし実
際の実務では、使用者は労働者を簡単に解
雇することはできません。労働者にとって
解雇は生活の糧を得る手段を奪われるとい
う極めて重大かつ深刻な問題である以上、
使用者の解雇が客観的に合理的理由を欠く
場合やさらに社会通念上是認される解雇で
ないような場合は、解雇権を濫用したもの
として解雇が無効として否定されます。平
成16年1月1日に施行された改正労働基
準法には、第18条の2として以下の条文
が追加されました。
「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社
会通念上相当であると認められない場合
は、その権利を濫用したものとして、無効
とする。」
この条文はそれまで判例法理として定着し
ていた解雇権濫用法理を明文化したもので
す。この条文によるとまず、解雇が客観的
に合理的な理由があるかどうか、客観的な
理由がある場合にさらにその解雇が社会通
念上相当なものとして認められるかどう
か、この2点において審査され、この審査
をパスできる場合にはじめて解雇が有効と
なります。
解雇理由は就業規則の絶対的記載事項で
す。したがって就業規則に記載されていな
い理由による解雇はできません。学説では
このことを解雇理由の「限定列挙説」とい
います。
以上、解雇に関してその原則を概観してみ
ますと、解雇には幾重にも制限が加えら
れ、簡単に使用者が労働者を解雇する事は
できないということになります。
解雇には大きく分けて
1.普通解雇
2.整理解雇
3.懲戒解雇
の3つの形態があります。
それぞれの解雇については頁を改めて説明
します。
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